ミリメートル水銀厨

この場所はメモ欄としてご自由にお使いください

『機械兵団の進軍』チームシールド感想

 

はじめに

 友人の厚意により『機械兵団の進軍』チームシールドを遊ばせてもらった。

チーム・シールド

 チームシールドとは、3人1チームでドラフトブースターを12パックを開け、40枚デッキを3人分組んで相手チームと対戦する遊び方。身内では、参加者6人を2チームに分け、相手チームと総当たりするルールで遊んでいる。1人あたり3マッチ、計9マッチ行い5マッチ勝ったチームの勝利となる。

 私がチームのリーダーとして立てた作戦と事前練習、本番の様子について覚えている範囲で記録に残す。

 

登場人物

☆がチームリーダー

ファイレクシア軍

  • ☆私

    • MtG歴は4年ほど。ドラフトばかり遊んでいて構築はあまり遊ばない。

  • I氏

    • MtG歴は半年ほど。パウパーの白黒ブリンクをこよなく愛する。

  • T氏

    • MtG歴は2か月ほど。どうやらリミテッドにハマっているご様子。

多元宇宙連合軍

  • ☆O氏

    • MtG歴は4年ほど。パウパーで弱いデッキを作っては弱すぎると嘆いている。

  • K氏

    • MtG歴は半年ほど。始めて半年なのにパウパーのデッキを10個近く持っているらしい。

  • F氏

    • MtG歴は5年以上? 身内にMtGを広めた人。非常に独創的なデッキ構築力を持つ。

 

『機械兵団の進軍』リミテッドの実績

 『機械兵団の進軍』のドラフトはとても好きな環境だったので、MtGArenaのプレミア・ドラフトをそれなりの数回していた(41回参加、146勝110敗勝率57.0%、最高ダイヤモンド3)。ミシックランクのプレイヤーには劣るが、知らないカードはないしカード評価とアーキタイプ評価もある程度固まっていたのでこの環境には自信があった。

 シールドはほとんど遊んでいないが、チームシールドはデッキパワーがシールドよりドラフトに近いので、シールド力よりドラフト力が求められると私は考えている(諸説あり)。

 

チーム分けの感想

 チームバランス的には不利側だと感じていた。MtG歴の合計で負けている上に、相手チームの3人は『機械兵団の進軍』ドラフトをそこそこやりこんでいた(3人合計で50回くらい?)が、対して味方チームは私しか数を回していなかった。

 しかし、I氏は最近リミテッドのコツをつかんできたようで直近の身内のドラフト会では勝ち越していたし、T氏は遊戯王とシャドウバースと長くプレイしていた経験のおかげかMtG初心者とは思えないほど冴えたプレイをするので、リミテッドの基礎を教えて『機械兵団の進軍』の強いカードを覚えてもらえば十分に勝てるだろうとも感じていた。

 ありがたいことにI氏もT氏もチームシールドへのモチベが高く、オンライン作戦会議2回とオフライン練習会1回を開くことができた。

 

第1回オンライン作戦会議

 第1回は、スプレッドシートを使ってリミテッドの基礎知識と『機械兵団の進軍』のアーキタイプ評価を教えた。実際に使ったスプレッドシートのリンクを張っておく(一個人の考えであるのと、初級者に教えるためにある程度モデル化した書き方をしていることに留意して読んでもらいたい)。

docs.google.com

 私は原則例外という考え方が好きなので、まずは原則に絞って教えることにした(原則が身に着いていれば例外は後から自然と覚えられる)。1シート目の「リミテッドの基礎」に書かれているのは私が思うリミテッドの原則である。

 2シート目にアーキタイプ評価と色の分配を書いているが、あくまで目安であって、パックから出たカード次第でどのような色の分配もありうると考えていた。詳細は次の章で説明する。

 

アーキタイプ評価の詳細

 大前提として、『機械兵団の進軍』リミテッドはすべての2色の組み合わせに可能性がある。『機械兵団の進軍』は強いレア*1が非常に多く、また「多元宇宙の伝説」枠がアンコモン以上確定なので全体的なレアリティが高いため、コモンだけで再現性の高いデッキを組むことができない。以下の評価で弱いとされている2色アーキタイプも、色の合うレアを1,2枚引くだけでパワーがグンと上がる。

 したがって、以下のアーキタイプ評価はあくまで平均的な引きをした場合の評価だと思ってほしい。あなたのパックの選び方で評価は容易に覆る。

2色アーキタイプ(S~Dの5段階評価)

3色

 チームシールドはドラフトやシールドに比べて3色*4にするメリットが薄いと感じていた。シールドは引いたレアを可能な限り詰め込むために多色化することがあるが、チームシールドは自分が使わなかったレアは味方が使ってくれる。ドラフトはカットするために取ったレアを入れることがあるが、チームシールドは味方からレアを奪うと味方のデッキパワーが落ちてチームの利益にならない。また、ドラフトは上家が色が合わなくて流したレアを無理のない巡目で取って多色化することがあるが、チームシールドはチームで全色使うので色が合わない単色レアは存在しない。

 3色が生まれる引きは2通りだけあると思っていた。「強い3色以上のレアを引いた場合」と、「味方2人が使えない強い2色レアをタッチする場合」である。

強い3色以上のレアを引いた場合

 具体的には《腹音鳴らしとフブルスプ》《クロクサとクノロス》《サリアとギトラグの怪物》《ズルゴとオジュタイ》《法務官の声、アトラクサ》のいずれかを引いた場合である。他の3色以上のレアは色を足すほどの価値がないと判断した。どの2色をメイン色にしてどの1色をタッチ色にするかは他のカードの引きによる。

 アトラクサを引いた場合は4色になるが、おそらく青緑t白黒か黒緑t白青になる(多色サポートの《荒廃した芽ぐみ》《ゼンディカーへの侵攻》をメイン色で使いたいため)。

味方2人が使えない強い2色レアをタッチする場合

 例えば、青黒と白緑と青赤で組むことに決まったときに、青黒が《捕食の伝令、グリッサ》を使うために緑をタッチする、というような場合である。このパターンは考慮するべき要素が多すぎる*5ので当日パックから出てきたカードを見てアドリブで判断するつもりだった。

重複色

 前述のとおり、チームシールドは3色を組むメリットが薄い。よって、基本的には2色のデッキを3つ組むことになるのだが、マジックに存在する色の数は5つであるため、必ずどれか1色が2つのデッキに入ることになる。これを本文では重複色*6と呼ぶことにする。

 重複色は、その環境で強いとされる色であるのが望ましい。なぜなら、強い色は強いコモンアンコモンを多く有しているため、2つのデッキで分け合ってもデッキのパワーを確保しやすいからである。

 『機械兵団の進軍』リミテッドの色は 青>黒>緑>赤>白 の順に強いと思っていたので、なるべく青か黒を重複色にしたいし、赤や白は分け合いたくなかった。

 

オフライン練習会

 休日を使ってオフラインで集まり、『機械兵団の進軍』12パックを開けてデッキを組み、対戦を行う実践形式の練習会を行った。主な目的は、『機械兵団の進軍』の経験が浅い2人に実際のカードを触ってもらいカードを覚えてもらうことと、コンバットの考え方を実戦を通して教えることである。

 オフライン練習会のパックの引きはかなり渋かった。色を決められるアンコモンたち(《ザルファーの司令官》《光素を漁る者》《アモンケットへの侵攻》《植物の喧嘩屋》)が0枚で、レアも《太陽降下》以外はパッとしなかった。《練達の職人、レヤブ》が2枚とコモンの装備品が山ほど出たので赤白装備品をI氏が使い、《エルフの桶守り》が2枚出たので黒緑を私が使い、余ったカードで騎士無し《太陽降下》入りの白青のT氏が使った。

 I氏とT氏の対戦中は、私が横でプレイングのアドバイスをしていた。具体的には、2回のフルパンでライフを削り切れるプランがあるならそのプランを取った方がいい、見た目上ブロックされないクリーチャーに装備品を装備するよりそのマナをクリーチャー展開に使った方がいい、相手の手札には除去か+2/+2がある可能性を考慮してブロッククリーチャーを選択するといい、瞬速呪文や培養器トークンの起動は相手ターンに使った方がいい、などである。

 デッキを組む練習のために別の色の組み合わせも試した。赤白装備品はそのままで、赤緑と青黒を組んでそれぞれT氏と私が使ったのだが、赤が重複色になったために赤白と赤緑のデッキパワーが落ち、一方青黒はコモンの寄せ集めにしかならなかったので本当に弱かった。結果的には始めの色の組み合わせの方が良かったと思う。

 練習会後にT氏おすすめの中華料理店*7で腹を満たしながら、練習会では出なかったが強いコモンとアンコモンの話をした。

 

第2回オンライン作戦会議

 本番の前日に17lands.comを使って各コモンカードの勝率の話をした。T氏の提案で、途中からは各色のコンバットトリックと除去の確認と、多元宇宙の伝説のアンコモンを一通り予習した*8

 コンバットトリックはたくさん覚えられないと思ったので、白の《空中ブースト》《天使の介入》、緑の《機械蜘蛛の順応》だけは警戒するように伝えた(実際に私がプレイするときもこれくらいしか警戒していない)。

 除去については、なるべく強いクリーチャーを討ち取れるときか、2対1交換を行える時まで温存して、相手の弱いクリーチャーはなるべく地上戦で対処するのがよいと伝えた。

 オフライン練習会の時点である程度カードとアーキタイプの評価の合意が取れていたので、この会は早めに終わって翌日の本番に備えた。

 

本番

デッキ構築

 本番で開けた12パックの内容は非常に良かった。緑の高レアリティの層の厚さ(《レンと次元壊し》《ヴォリンクレックス》《打ち砕かれた尖塔、オゾリス》《カル・シスマの恐怖、殺し爪》《雑草学の指導者》×3)がまず目についたので、事前に緑を予習していたT氏に緑のカードを全て預けた。次に、私が最もやりたい色である青黒のアンコモン《光素を漁る者》《アモンケットへの侵攻》)が各1枚ずつ出ていたので青黒もまず間違いないと考えた。残る色は白赤だが、白赤のプールを見ると強いカード(《原初の征服者、エターリ》《伝承師、クイントリウス》《練達の職人、レヤブ》)が残っていたのでこれも強いデッキになりそうだと思い決めた。最後に緑の片割れの色を決める必要があったが、黒緑のアンコモンが3枚(《エルフの桶守り》《ローウィンへの侵攻》《魂浸し、ダイナ》)あったので黒緑がいいという判断になった。

 最終的なデッキリストの画像を載せる*9

 

私 青黒 (沼9,島7,2色土地1)

 

I氏 白赤装備品 (平地8,山8,2色土地1)

 

T氏 黒緑

 

 どのデッキも強く、0-3しそうなデッキは一つもなかった。オフライン練習会であれだけデッキを組むのに苦労したのが嘘のようにスムーズに組めて、少しデッキを回す時間さえ生まれた。やはりシールドは強いレアを引くのが板。

 

対戦

1試合目

 vs O氏(赤黒) 引き分け

この時点でチームの勝敗は1勝1敗1引き分け。

2試合目

 vs K氏(白緑)引き分け

  • 1ゲーム目 ×
  • 2ゲーム目 ○
  • 3ゲーム目 -
    • よく覚えていない。相手のリソースは尽きていたのであとはターンをかければ勝てていたと思うがとにかく時間がなかった。延長の追加5ターンまで使い切って引き分け。

この時点でチームの勝敗は2勝2敗2引き分け。

3試合目

 vs F氏(青赤t黒)勝ち

 2ゲーム目終了時、既に他のマッチは終わっていて、1勝1敗だった。この時点でチームの勝敗は3勝3敗2引き分けとなり、私vsF氏の3ゲーム目にチームの勝敗が委ねられた。

  • 3ゲーム目 ○
    • チームの命運がかかっていたがプレッシャーはあまり感じておらず、やれることを全力でやるだけだと考えていた。5マナまで順調に土地が伸び、《卓絶した声明》《芸術的な拒絶》で打ち消すことができた。盤面は大きく負けていたが、6マナ目を引いて《フィオーラへの侵攻》が間に合い、途中で時間切れのアナウンスはあったものの延長3ターン目に殴り切って勝ち。F氏の「負けました」の声を聞いた瞬間は手が震えた。

結果

 4勝3敗2引き分けでファイレクシア軍の勝利。全多元宇宙はファイレクシアの油に満たされ、偉大なる指導者エリシュ・ノーンと共に生きる喜びに打ち震えることになった。

 

感想

 チーム全員でつかんだ勝利だった。あと1敗でもしていたら負けなので無駄な勝利というものが一つもない。私は全試合延長ターンに入ったので休憩もあまりなく、チームメイトのサイドボードプランについてほとんどアドバイスできなかったが、しっかりやり切ってくれた。チームメイトには感謝してもしきれない。『機械兵団の進軍』は本当に好きでやりこんだセットなので、結果が伴ったのも自信になった。

良かった点

  • 前回のチームシールド(灯争大戦)終了後に3つの目標(全員のデッキパワーをなるべく均等にする、柔軟な発想を持つ、デッキ構築はチームメイトのアドバイスをもらう)を立てた。前者2つは達成できていたと思う。チームメイトのアドバイスについては、リミテッドの経験に差があったのであまりもらわなかった。
  • 作戦会議と事前練習は必要十分なものができたと思う。初級者2人にリミテッドを教える機会をもらったことで、また身内のリミテッド会のレベルが一段上がったはず。I氏とT氏からも好意的な反応はもらっていて、コモンクリーチャーの標準スタッツの目安と、攻めるデッキのコンバットの考え方を知れたのは良かったと言ってもらえた。
  • 試合間のコミュニケーションが相手チームより上手くいっていた。「K氏のデッキには《太陽降下》が入っているから、勝ち確定の盤面になったらそれ以上クリーチャーを追加しない方がいい」というアドバイスをT氏にして実際に役立ったらしい。逆に、相手チームのF氏は私の《フィオーラへの侵攻》の存在を3試合目の3ゲーム目まで知らなかった。

反省点

  • プレイが遅かった。私はよく負けた時に気持ちを落ち着かせるために時間をかけてシャッフルをしたり、微差の2択を長考したりするのだが、青黒というロングゲームを見るデッキを使うときは素早いプレイをしなければならなかった。特に1試合目も2試合目も3ゲーム目に十分な時間があればだいたい勝っていたので悔やまれる。根本的なタイムマネジメントを見直したい。
  • 「柔軟な発想を持つ」ことを重視しすぎて、事前に誰がどの色をやるのかをほぼ決めなかった(青黒を組めたら私が青黒をやることだけ決めていた)。なんとなくの色の割り振りを単色単位で決めておいて、その色のカードを重点的に予習してもらう方がカード理解が深まったと思う。
  • T氏のデッキを、黒緑ではなく《報奨の祝賀者、イモーティ》《ゼンディカーへの侵攻》を絡めた青緑ランプにする可能性を考えていなかった。青のカードの引きが悪めだったのと、初級者にランプを握らせる不安があるので黒緑が最善だった気もするが、考慮にすら入らなかったのは反省したい。
  • 《無力化》はバトルが多く入った青黒との相性がいいことをすっかり忘れていた。T氏にサイドボード用カードとして渡したが、自分が使うべきだった。
  • 《芸術的な拒絶》2枚は多かった。マナが伸びれば勝つカードは他にもたくさん入っているので、1枚は序盤を支えるカードにした方が良かった。
  • 2試合目に《ぎらつく氾濫》をサイドインするのを忘れていた。色対策のラスだな~とは思っていたが、ArenaのBO1ドラフトで使うカードではないので何色の対策なのかを忘れていた。負けたらサイドをガン見したい。

次の目標

  • 素早いプレイを心がける
  • 負けたらサイドを見る
  • 柔軟な発想を持つ(継続)
  • デッキ構築はチームメイトのアドバイスをもらう(継続)

 

おわりに

 『機械兵団の進軍』リミテッドは最高に面白いので、読者諸賢も『機械兵団の進軍』チームシールドをぜひ遊んでみてほしい。

 最近、身内でリミテッド会が開かれ、負けた人が悔しくて箱を買って次回のリミテッド会を開くという好循環(?)ができていて*10、幸運なことに場代だけでリミテッドを遊ばせてもらっている。感謝しかない。今後ともよろしくお願いいたします。

*1:神話レアを含む。本文中に「レア」と書かれている箇所はすべて「レアもしくは神話レア」と読みかえてよい

*2:本番を通して少し評価が下がった。いまはBランクだと思っている。

*3:本番を通してこのアーキタイプ《植物の喧嘩屋》に頼りすぎていると感じた。AからBに落ちるかは分からない。

*4:2色タッチ1色を含む。以下同様。

*5:青黒と白緑どちらがグリッサをタッチするのか、そもそも黒緑を組んでグリッサを自然に入れた方が強いのか、グリッサではなく《バラルとカーリ・ゼヴ》だったらそもそもタッチするほどのカードパワーがあるのか、など。

*6:私が勝手に呼んでいるだけである。そもそもこういった概念があるのかすら分からない。

*7:とても美味しい。

*8:T氏の提案がなければ漫然と全コモンの勝率の話をして締まりの無い会になっていた。ありがとうございます。

*9:全試合終了後に撮った写真なので、初めに組んだリストからは数枚入れ替わっている。

*10:ドラフトブースター1箱が36パック入りなのに8人ドラフトも6人チームシールドも24パックしか使わないので、余ったパックに少し買い足して第2回が開かれることもある。すべてはWotCの掌の上。

『Unfinity』ドラフト感想

はじめに

友人の厚意によりUnfinityドラフトを遊ばせてもらった。リミテッド用を謳っているだけあってどのカードも面白く、アンシリーズ特有のお遊び要素も相まって非常に盛り上がった。覚えている範囲で記録を残す。

参加人数は5人、総当たりのマッチ戦を行った。2組がマッチを行っている間余った1人は「ゲーム外の人物」としてテキスト処理のサポートをしていた。

 

ピック方針

前日にカードリストを一通り見た際に、カードごとの個性が強すぎる故に明確なアーキタイプを組むのが難しそうという感想を持ったので、単体のカードパワーを重視してドラフトを組む方針にした。

2色土地や色サポートがろくにないのでなるべく2色にするつもりだった。

Unfinity新規メカニズムのステッカーとアトラクションには注目していたが、これらを軸としたデッキを組むというよりは、いいところをつまみ食いするくらいの気持ちでいた。

ちなみに、デッキを回すまで「名前・ステッカー」と「アート・ステッカー」が異なる色に割り当てられたアーキタイプであることを知らなかった。

 

ピック

ピック譜が残っていないので覚えている限りの印象を書く。

1-1でパークのメ~惑/Park Bleater》、1-3で《テレフォン/Phone a Friend》、1-4で《動く物体/Animate Object》を取ったあたりで白青にする心づもりだったが、返しで白があまり回ってこず、赤が残っていたので青赤に方針を変更した。

その後《舞姫ェ~/Baaallerina》《非人間大砲/Non-Human Cannonball》あたりの単体で強いカードが安い巡目で取れたので、色の選択は誤っていなかったと思う。

ピックを終えてカードを並べたところ、青赤のみで組むと《大勝利者/Big Winner》などの弱いカードを多く入れることになってしまうことがわかり、最終的には青赤t白の3色で組むことにした。3色なのでカードパワーは高めだが、色サポートは《パークの地図/Park Map》だけと色事故の不安が残るデッキになった。

 

デッキ

クリーチャー 17

ソーサリー 2

インスタント 2

エンチャント 2

アーティファクト 1

土地 16

  • 平地 *3
  • 島 *7
  • 山 *6

アトラクション 3

  • コモン
    • 衣装ショップ/Costume Shop *1
    • ビーブルすくい/Pick-a-Beeble *1
  • アンコモン
    • スカベンジャーハント/Scavenger Hunt *1

ステッカー 3

「Sticky Kavu Daredevil」

「Demonic Tourist Laser」

Jetpack Death Seltzer」

 

《パークの地図/Park Map》が土地カウントなので土地は実質17枚。

アトラクションを開くカードは《監視機監視者/Monitor Monitor》のみ。

公式によると青赤のアーキタイプは「アート・ステッカー」だが、白青のアーキタイプである「名前・ステッカー」の要素の方が多い。

対戦

あまり覚えていないのでこれも印象だけ。

 

1試合目 赤緑 2-0

《舞姫ェ~/Baaallerina》《天使のハロルド/Angelic Harold》が止まらなくて勝ち。

《ウルザの秘宝館/Urza's Fun House》を起動されたときは正直焦った。

 

2試合目 白緑t黒 2-0

《動く物体/Animate Object》で生成した9/6トランプルが止まらなくて勝ち。

 

3試合目 白青 2-0

《非人間大砲/Non-Human Cannonball》《天使のハロルド/Angelic Harold》でビートダウンして勝ち

4試合目 青黒 2-0

《非人間大砲/Non-Human Cannonball》《ジャグルトロン/Juggletron》で殴り切って勝ち。

2ゲーム目はマナフラッドして手札が土地だけの時に《乗り物酔い/Motion Sickness》をトップデックしてギリギリ勝った。

 

対戦とデッキの感想

結果として1ゲームも落とさなかったがまあ運が良かったと思う。色サポートがほとんどない3色なのにマリガンと色事故が1回ずつしかなかった。

ふつうのエキスパンションセットの傾向だと、青赤はクリーチャーの質が低く、1ターンに2回ドローやらインスタント・ソーサリーやらのシナジーを使って戦うのだが、Unfinityは青赤のクリーチャーの質が環境の平均より高いように感じた。これについては活躍したカードの章で何枚か紹介する。

また、環境全体で除去の数が少なく、除去の質も高くないので高スタッツのクリーチャーや飛行クリーチャーが止まらない展開が多かった。ジョーク・セットでも結局高スタッツと飛行で殴った方が強いというのは少々面白みに欠けるように見えるが、高スタッツのクリーチャーを出す過程にジョーク・セットなりの演出があって楽しめた。

デッキを見ると分かるが、全体的にレアリティが高く、特にアンコモンのクリーチャーを多くとることができている。これは空いている色に参入できたことの結果であり、スタッツ勝ちできたことの要因でもある。

 

Unfinityの感想

新規メカニズムのステッカーとアトラクションはどちらも使用感が良かった。アトラクションはフォーゴトン・レルム探訪のダンジョンみたいなものなのでとっつきやすい。ステッカーは使い捨て前提なのだけ少し残念だった。

ドラフトにおいてはステッカーの方が強いメカニズムのように感じた。EtBでステッカーを貼るクリーチャーとアトラクションを開くクリーチャーがだいたい同じ数存在しているが、ステッカークリーチャーの方がアトラクションクリーチャーよりスタッツが高い。また、アトラクションは 1.開く 2.次のターンの戦闘前メインフェイズを迎える 3.サイコロで特定の目を出す というステップを踏んでようやくアドバンテージが取れるが、ステッカーは何を貼ってもだいたい盤面を強化できるのがよい。

今回自分が使用したカードの中で最もアンシリーズらしいのは《テレフォン/Phone a Friend》だと思う。全マッチの中で一度だけ唱えることができて、電話をかけた相手が「C」を選んでエクストラターンを得た時は盛り上がった。(ただし、他の選択肢の方がアドバンテージが取れる状況ではあった)

個人的に一番好きなUnfinityのカードは《副陽の接近変化/Form of the Approach of the Second Sun》。過去の○○変化に負けず劣らずフレーバーに富んでいる。今回ピックした人が一人いて、自分は使われなかったが隣のマッチで悲鳴が上がっていた。

 

活躍したカード

《天使のハロルド/Angelic Harold》

自分の非土地パーマネントに名前・ステッカーを貼るEtB効果と、3単語以上の名前を持つクリーチャーに+1/+1修正を与える常在型能力を持つ。

このクリーチャー自身に名前・ステッカーを貼ってもよく、貼ると3単語になるので3マナ3/3飛行になる。自己完結したうえでさらに他のクリーチャーを強化するポテンシャルを持つ良カード。

 

《動く物体/Animate Object》

長ったらしいテキストが書いてあるが、簡単に言うと5マナで8/4飛行トークンや9/6トランプルトークンを生成することができる。

7チケットという数字がシンプルに壊れていて、10/10のパワー・タフネスステッカー(6チケット)を貼ってもまだ1チケット余る。

ステッカーシートの引き次第ではあるが、たいていの場合化け物のようなスタッツのトークンを作れるためマストピック。

 

デビル・K・ネビル/Devil K. Nevil

一見するとよくわからないテキストだが、戦場に出た時にこのカードを弾いて(動画)並べたクリーチャーを跳び越すことができればそのクリーチャーの数だけ+1/+1カウンターが載る。

少し練習をすれば50cmくらい飛ばすことができるようになるので、安定して(相手を含めた)盤面のクリーチャーの数だけサイズアップすることが可能。赤ならロボットトークンを横ならべしやすいので8/7なんてスタッツも夢じゃない。速攻を持つので速やかにゲームを終わらせることができる。

3単語なので《天使のハロルド/Angelic Harold》の+1/+1修正の対象だったりする。

 

___ゴブリン/___ Goblin

戦場に出た時にこのクリーチャーに名前・ステッカーを貼り、その名前・ステッカーに含まれる母音の種類数だけ(赤)を生む。

ほとんどの場合3マナ生成が保証されていて、ステッカーシートの引き次第では4マナ、5マナ、6マナ生成も十分あり得る。

自分はステッカーシートの引きが悪く3マナしか生成できなかったがそれでも活躍してくれた。

より詳細な情報はロダーシャさんが書いてくれている。

rodasha.hatenablog.com

 

非人間大砲/Non-Human Cannonball

死んだときにサイコロを振り、出目が1から4だったら自分のライフに出目分のダメージを与える。

3マナ4/3という非常に良いスタッツに対してデメリットが小さい。赤の高スタッツにありがちなブロック制限すらない。3ターン目にこれを出して殴り始めるだけで大幅にライフレースの有利を取ることができる。

Unfinityドラフトはみんなテキスト欄を読むのに必死でスタッツをあまり見ていないことが多いので、こういうカードが安く回ってくる可能性がある。

 

おわりに

もしあなたがUnfinityドラフトに参加する予定があるなら、帽子を買いに行くより消火器を大量に持ち込む方法を考えた方がいい。

私的台詞イントネーション作曲4選

音MADのジャンルのひとつに、台詞イントネーション作曲というものがある。

台詞イントネーション作曲とは (セリフイントネーションサッキョクとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 

通常の音MADは、

1.既存の曲を用意し

2.その曲の音階に合うように人物の台詞を切り貼りする

といった工程で作られる。

 

一方、台詞イントネーション作曲は、

1.人物の台詞のイントネーションを音階に直し

2.その音階をもとに曲を作り

3.人物の台詞を切り貼りする

といったように、通常の音MADとは逆の手順を踏んで作られる。

 

言葉で説明するより見てもらった方が早いと思うので、例を挙げる。

 

私は「人の声がサンプリングされて音楽に乗っていると……楽しい!」という素朴な感情からよく音MADを聞いているのだが、特に台詞イントネーション作曲で作られた音MADは、不自然なピッチの変化もなくサンプリングされた声と曲が合っていてより楽しくなれるので好んで聞いている。

 

台詞イントネーション作曲で音MADを作りたいと思った場合、定義より作曲をしなけらばならない。音MAD作者全員が必ずしも作曲の技術を持ち合わせているわけではなく、台詞イントネーション作曲ができる人は限られる。

 

上記の理由から、台詞イントネーション作曲で作られた音MADは数が少なく、ジャンルとしてあまり周知されていない。また、軽く検索したところ、台詞イントネーション作曲をレビューしたようなブログ記事も見つからなかった。良質な音MADたちが日の目を浴びないのは寂しく、この記事では私が好きな台詞イントネーション作曲で作られた音MADをいくつか紹介したい。

 

  • めめめのサイコロが!

ホロライブのもこ田めめめを素材にした台詞イントネーション作曲。ニコニコ動画の「台詞イントネーション作曲」タグで最も再生数が多い。

 

カルト的な人気があり、何人ものフォロワー(原義)がこの曲を元に音MADを作り、「mememe_dice」というタグまで作られた。興味のある方はタグ「mememe_dice」の方も見ていただきたい。わたしのオマンコが!が一番好き。

 

ちなみに素材のもこ田めめめは音MAD好きであることを公言しており、何度か「めめめのサイコロが!」を絶賛するツイートをしている。

 

  •  本間ひまわり「きいろぉぉぉぉぉおおおお!!!!」

にじさんじの本間ひまわりを素材にした台詞イントネーション作曲。こちらもこの曲を元にいくつか音MADが作られ、専用のタグ「きいろ(皿)」が作られた。

 

ストーリー仕立ての音MADであり、4分弱という短い時間で元配信のオチまで知ることができる見事な構成となっている。間奏から泉鏡花「夜行巡査」 の朗読へ繋ぐ流れが完璧で、なぜだかわからないが私は聴くたび泣きだしそうになってしまう。

 

  • なるほど

 FUJIWARA原西孝幸を素材にした台詞イントネーション作曲。絵面と台詞の薄っぺらさに比べてシンセがかっこよすぎて頭がおかしくなりそうになる。

 

突然の原西に驚く方もいると思うので説明をすると、ニコニコ動画の音MADには芸人MADというジャンルがあり、特に「原西 ギャグ大全」の原西孝幸を素材とする動画が非常に多い。どういうことか分からなくてもそういうものだと思ってほしい。

 

この動画は「台詞イントネーション作曲合作」という合作に投稿された動画で、合作の方も良曲揃いなのでぜひ視聴することをお勧めする。

 

  • GIRL'∫ 綴RHYTHM

複数のアニメ作品の台詞を素材にした台詞イントネーション作曲。作者の2÷す氏の圧倒的なアニメ視聴量と作曲の才能に裏打ちされたこの音MADはとにかく異質で、これほどの密度の台詞イントネーション作曲は2÷す氏以外に見たことがない。

 

2÷す氏は数多くの台詞イントネーション作曲を投稿しており、台詞イントネーション作曲合作に参加した時の5/7:Sや、owatax氏と共作したCƟNCᒧUSIƟN CƟNNE✕IƟNなど、どれも良作ばかり。台詞イントネーション作曲というジャンルの第一線で活躍している方だといえる。

 

 

以上。今年も良質な音MADに出会えることを願って。

『グランド・ブダペスト・ホテル』の語りの構造について

 映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を観た。面白かったのでTwitterに感想を呟こうと思ったのだが、書いてみたら呟くには長くなりすぎてしまったので、ブログにあげることにした。

 以下ネタバレを含む。

 

続きを読む

【発売前】ナショナルエコノミー・グローリー カード雑感

 かの有名なナショナルエコノミーシリーズ最新作、ナショナルエコノミー・グローリーが今年発売される。私はこのナショナルエコノミーシリーズの大ファンであり、一刻も早く遊びたいという気持ちが募るあまり発売前の情報だけでカード評価をすることにした。

 現在公開されているナショナルエコノミー・グローリーの情報は、ボドゲーマにあげられたまつなが氏のレビューしか存在しない。このレビューに掲載された4枚の写真から読み取れる限りの建物カードの評価をする、というのが本記事の趣旨である。

 TCGに少しでも触れたことがある人ならよく知っていることであろうが、発売前のカードの評価なんてあてにならない。今回の場合収録カードの一部しかわかっていないので環境が不明であるし、そもそもひとりの人間が机上で行える思考の深さには限界がある。そのことを十分に留意したうえで読んでもらいたい。

注意点

  • 私は単なるスパ帝及びナショナルエコノミーシリーズの一ファンである。制作には関わっておらず、まつなが氏のレビューと、後述する@Y_GASTRONGER氏のツイート以外のナショナルエコノミー・グローリーのカードに関する一切の情報を持っていない。
  • ナショナルエコノミー・グローリーは発売前のボードゲームである。まつなが氏のレビューにあったカードが全て製品版のナショナルエコノミー・グローリーに収録されるとは限らない。
  • 写真から人力で読み取った内容でカード評価をするため、実際のテキストとは異なるテキストで評価をしてしまう可能性がある。
  • 以下、「ナショナルエコノミー」を「無印」、「ナショナルエコノミー・メセナ」を「メセナ」、「ナショナルエコノミー・グローリー」を「グローリー」と呼ぶ。
  • 「各建物カードが初期手札にあった場合の動き」は、自分が4人戦の3番手であることを前提に書かれている。1番手と2番手はそれぞれ学校と採石場に行っておけばだいたい正解で、4番手は2ラウンド目終了時の賃金を払うことができるため動きが全く変わるためである。

 

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遺跡
公共
消費財を1枚引く 勝利点トークンを1枚得る

 グローリーで追加された新しい公共の建物。画像では採石場の隣にあるため採石場や大工のように1ラウンド目から公共にあると思われる。

 はじめに言っておくが、遺跡は素晴らしい建物である。スパ帝に感謝の気持ちを伝えたい。無印もメセナも初期手札が良くない限り1,2ラウンド目の動きはだいたい決まってしまうという問題があった。また、メセナの勝利点トークンにはそもそも宮大工、菜園、研究所のいずれかが引けないと集めることができないという問題があった。遺跡はその両方を1枚で解決してくれる。終盤にほとんどの建物が埋まった後の選択肢が鉱山以外にあるのも良い。

 強さに関してだが、1ラウンド目では学校よりは弱く採石場と同じか少し強いくらいの立ち位置だと思われる。蒸気工場のコスト軽減の種にもなることを加味してこの評価だが、蒸気工場以外に勝利点トークンとシナジーがある建物があるかどうかでまた評価は変わる。

 以降のカード評価の「各建物カードが初期手札にあった場合の動き」で「鉱山」と書かれている部分は「遺跡」に読み替えてよい。鉱山の代わりに遺跡を使うたびに1枚勝利点トークンが増える。

 

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工房
1コスト8点 工
カードを1枚引く 勝利点トークンを1枚得る

 工房の存在もとても嬉しい。どうしても勝利点トークンが欲しいとき、涙を流しながら宮大工*1を建てるより涙を流しながら工房を建てる方がまだマシだからである。初心者が「とりあえず1コストの建物を建ててみるか」と思って建てたときに詰みづらいのも良い。

 初期手札にあった場合 大工(工房)→工房→露店→工房 で蒸気工場のコスト軽減条件を満たしながら手札2枚で3ラウンド目に繋げられる。露店の代わりに学校が打てたらさらに良い。

 見逃せないのがきっちり工業マークが付いている点である。1コストで工業マークが付いていながら最低限の効果は持っているので中盤以降にも建てる価値が生まれる(メセナの鉄工所*2は最低限の効果すら持っていなかった)。工業マークとシナジーがある建物はまだ1枚も判明していないが、まず間違いなくあるし、メセナの工業団地*3のような建物が存在するならさらに評価が上がる。

 

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農村
1コスト6点 農
消費財を2枚引く or 消費財を2枚捨ててカードを3枚引く

 無印の農場*4が追加の効果を得て帰ってきた。下段の効果も上段の効果から繋がるので1枚で完結している。上段と下段を使用した場合鉄工所と同じ効果になるため柔軟性のある鉄工所と言うこともできる。

 初期手札にあった場合の行動は、

 ①大工(農村)→農村上段→露店→農村上段
 ②大工(農村)→農村上段→露店→農村下段
 ③大工(農村)→農村上段→遺跡→農村下段
 ④大工(農村)→農村上段→採石場→農村下段

 の4通りが考えられる。3番手の場合残るものはそれぞれ

 ①$5、農村、手札4枚(うち3枚消費財)
 ②$5、農村、手札3枚
 ③$5、手札5枚(うち1枚消費財)、勝利点トークン1枚
 ④$5、手札5枚、スタートプレイヤー

 である。私の個人的意見では①が最も強く数字が大きくなるほど弱い。結局無印の農場と使い方変わってないじゃないか(呆れ)

 建物の効果は一見強いが上段も下段も1コスト相応の働きしかしないので中盤以降に建てることはあまりないと思われる。

 

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蒸気工場
2コスト10点 工
勝利点2枚以上で建設コスト-1/手札を2枚捨てて4枚引く

 グローリーの工場*5は勝利点トークンでコストが減る。ドロー効果に変更はないので特に語ることはない。問題はコスト軽減の方だが、現状公開されている勝利点トークンを得る建物からきれいに繋がるルートはない。今まで通り労働者を増やしながら隙を見て建てることになる。

 初期手札にあった場合、今まで通り 鉱山→鉱山→大工(蒸気工場)→蒸気工場 と動くことになると思われる。コスト軽減するために遺跡を2回使ってからとかやってると動きが硬くなる。

 工場も食品工場も点数が12点であったのに、蒸気工場の点数が10点になったのは気になる。やはりコスト軽減後は建てるだけで市場と同じ点数効率となってしまうのが問題だったのだろうか。メセナのプレハブ工務店*6のような点数を参照する他の建物の存在が影響している可能性もある。

 ゲーム中盤以降になると、勝利点トークン2枚以上という条件は農業マークの建物を持っているという条件より緩いので、食品工場*7より建て売りしやすい。点数は2点減ってしまっているが。

 

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養鶏場
2コスト12点 農
消費財を2枚引く 手札が奇数枚なら3枚引く

 メセナ養殖場*8にあたる建物。初期手札にあった場合 鉱山→大工(養鶏場)→養鶏場 と動けば2ラウンド目に1手残して4枚の手札(うち3枚が消費財)を持てる。養殖場なら同じ動きで5枚の消費財を持てるが、建物カードを1枚持てるという差は大きく、初手養殖場で問題だった鉱山お祈りを養鶏場の場合はしなくて済む可能性が高い。

 そもそも2コストで上限なし準備なしで3枚手札が増える効果は強い。手札が4以上の偶数枚のときに 大工(養鶏場)→養鶏場 とするだけで手札を減らさずに12点の建物が残る。これは 2アド→市場 と同じ点数効率であり、2アド建物が使えない時に有効である。養殖場でも似たことができたが、養殖場の場合は事前に消費財を用意しなければならなかったという点で決定的に違う。遺跡の無いメセナ養殖場を建てる前に消費財を用意することは、卵を割る前に黄身を取り出すくらいに難しかった。

 公共に売りに出した場合のリスクは養殖場より少し大きい。養殖場は1回目の使用では2アドだが養鶏場は1回目の使用で3アドになる可能性があるからである。また、養鶏場が公共に出ると今まで以上に他プレイヤーの手札枚数を記憶するのに神経を使うことになる。

 総じて、養殖場よりちょっと便利でかなりトリッキーなカードであると思われる。ちなみにこの建物の効果が「奇数枚なら3枚引く」ではなく「偶数枚なら3枚引く」ならもう少しだけ強かった。なぜなら0が偶数であり、かつ、摩天建設で引く枚数が2だからである。

 

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摩天建設
2コスト10点
建物を1つ作る 手札が空になったらカードを2枚引く

 強い。無印のゼネコン*9が泣いている。手札を空にしなければならないという条件はあるが、そもそもこのゲームは手札に建てたい建物が2つ以上ある方が稀なので、デメリットなんてあってないようなものである。

 摩天建設は2枚引くため、2枚捨てる蒸気工場と相性が良い。逆に3枚捨てる無印の自動車工場*10メセナの造船所*11のような建物とは相性が良くない。相性が良くなかろうとそもそもこの建物が強いので使わない理由はないが。

 これだけ強くても1回使った時の点数効率はそれほど良くない。1コスト8点の建物を建てた場合 鉱山→百貨店 に6点劣り、2コスト12点の建物を建てた場合 鉱山→万博 に8点劣る。きちんと維持して複数回使うことが求められる。

 初期手札にあった場合 鉱山→大工(摩天建設)→鉱山→摩天建設(工房など) で8点と摩天建設と手札2枚を持って3ラウンド目を迎えることができる。2回目の鉱山が採石場ならなお良い。ただ、上記の行動より、適当に人を増やしながら摩天建設を維持して3,4ラウンド目あたりで蒸気工場を建てて使った方が強いような気がする。

 

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綿花農場
3コスト14点 農
消費財を5枚引く 労働者2人必要

 この建物の細かい仕様は不明だが、「1手番で自分の労働者2人を同時に置ける」と仮定して話を進める。

 労働者が2人必要な建物は前例がないので評価が難しいが、とりあえず無印の大農園*12と比較するのが良さそうである。大農園は1人あたり消費財3枚、綿花農場は1人あたり消費財2.5枚なので大農園の方が強い、と考えるのは少し甘い。大農園で消費財を6枚引くためには大農園が2件必要だが、綿花農場で消費財を5枚引くために必要な綿花農場は1件である。

 じゃあ大農場より綿花工場の方が強いかというとそうではない。大農場が1件しかなくても適当な2アドの建物を使えば綿花工場と同じ2手5アドになるうえに、2アドの建物が工場なら消費財を建物カードに変えることもできる。さらに言えば綿花農場には柔軟性がない。消費財5枚より消費財3枚と1手の方が嬉しい場面は往々にしてある。消費財シナジーがある建物の数や、機械人形による労働者数のインフレ具合によっては評価が上がる可能性はあるが、現状の評価はあまり高くない。

 初期手札にあった場合、鉱山→大工(綿花農場)→綿花農場と動くと14点と消費財5枚を持って3ラウンド目を迎えられるが、消費財しかないため鉱山お祈りをしなければならない。右手力に自信があるならやってもいい。

 

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記念碑
3コスト24点 施
売却不可

 点数だけを持つ売却不可の建物。無印の邸宅*13メセナの博物館*14のような建物だが、これらに比べて記念碑はコストが軽いので非常に使いやすい。また、きちんと6点/枚の点数効率であるため、百貨店を打つ代わりに記念碑を建てても全く損しない。おおむね「家計が枯れていても打てる百貨店」という認識でよいが、記念碑は建物でありかつ施設マークを持っているという点は重要で、摩天建設で建てることができれば12点の得であり、施設マークとシナジーを持つ建物を活かすことができる。

 私は、遺跡や工房の存在に喜んだように記念碑の存在にも喜んでいる。軽くて6点/枚の点数効率を持つ施設系建物はそれだけで価値があり、ゲームに不慣れな初心者にもわかりやすく詰みにくい建物だからである。本社ビル*15投資銀行*16も草葉の陰で喜んでいるだろう。

 

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機械人形
4コスト2点 施
建設時:機械人形を1体得る 売却不可

 まつなが氏のレビューに"グローリーの特徴的な建物は「機械人形」です"とあったのでこれが今作の目玉建物なのだろう。レビューの"人形さんは、得たラウンドから研修なしで普通のワーカーと同じように動けるだけでなく、お給料がいりません!"という言葉どおりなら、機械人形という建物は単に点数のみを持つ売却不可の建物と見ることができる。

 計算してみよう。4コストの建物は6ラウンド目(大学のラウンド)に建てられることが多い。機械人形を6ラウンド目に建てた場合、得た機械人形はこのラウンドから動けるため、5ラウンド目に1人労働者を増やしたときと同じ状況になる。5ラウンド目に増やした労働者にゲーム終了までに支払われる給金の合計は 3+4+4+5+5=21金 であるため、このときの機械人形のテキストは「4コスト23点 施 売却不可」となる。実際には、機械人形を建てるのと労働者を増やすのを1手番で同時に実行しており、学校などで労働者を増やした場合に比べて1手分浮いているため、4コスト29点か4コスト35点くらいの価値となる。つまり、6ラウンド目に建てられた機械人形は、おおよそメセナの博物館と同じ価値の建物だと思えばよい。5ラウンド目以前に建てることができればもう少し価値が上がる。

 「博物館を6ラウンド目に建てる」と聞くとかなり弱そうに感じられる。しかし、実は上記の計算は前提に誤りがある。メセナにおいて「4コストの建物は6ラウンド目に建てられることが多い」というのは事実だが、それは醸造*17や造船所が売却可能で使用しなければならない建物だからである。売却不可でパッシブ効果しかない機械人形はあの手この手を使って2ラウンド目や3ラウンド目に無理やり建てることができる。

 初期手札にあった場合 鉱山→鉱山→大工(機械人形)→鉱山→鉱山 と動くことで学校が打てなくても手札2枚と3人持って3ラウンド目を迎えることができる。借金の額もそれほど大きくなく、3番手なら-3点で済む。このとき、ゲーム終了までに機械人形のおかげで浮くお金は$31であり、学校が無いのに労働者を増やせたことまで加味するとかなり大きなアドバンテージを得られる。採石場があるなら 採石場→鉱山→学校→大工(機械人形)→鉱山 と動いて手札1枚と4人と-9点を持って3ラウンド目を迎えることも可能である。

 他の建物を挟んで3ラウンド目に機械人形を建てるルートもある。例えば、初期手札に機械人形と養鶏場がある場合 鉱山→大工(養鶏場)→養鶏場→採石場→養鶏場→大工(機械人形)→鉱山 と動くことで手札4枚(うち消費財2枚)と5金と3人を持って4ラウンド目を迎えることができる。これは一例で、未公表の建物次第で様々なルートが考えられると思われる。

 以上のように、機械人形は過去の4コストの建物とは決定的に異なる建物である。とにかく前例のない建物なので、まだ未知数である部分が大きい。労働者が多いほど得をする環境かどうかにもよるし、極論を言ってしまえば、グローリーの建物リストに「機械人形には使えない建物 or 機械人形にしか使えない建物」が含まれているだけで評価が大きく変わる。現段階で評価はしないが、文量を見て分かるとおり、私は機械人形に多大な期待を寄せている。

 余談だが、持っているだけでパッシブ効果が発動するような売却不可の建物は、無印には社宅*18や倉庫*19という形で存在したが、メセナでは撤廃された。それについてはスパ帝もブログで語っている。一度撤廃し、ブログでその理由も書いたギミックが復活したということは、機械人形が強い意図を持って作られた建物であると考えられる。また、パッシブ効果が書かれている部分の背景が茶色になっており、機械人形以外にもパッシブ効果を持つ売却不可の建物が存在することを想像させる。

 

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モダニズム建設
4コスト18点
建物を1つ作るコストを支払う際消費財は2枚分とする(?)

 不鮮明な画像から無理やり解読した結果なので、テキストの真偽は参考程度にしてもらいたい。

 摩天建設と比べるとどうしても見劣りしてしまう。1,2,3コストの建物を建てるときは摩天建設が勝り、4,5コストの建物なら同じ。6コスト以上の建物ならモダニズム建設が勝るが、1ゲーム中に6コストの建物を建てる機会なんてそうない。

 そもそも4コストの建物には建てて即使えて強い効果が求められるが、モダニズム建設は効果に即効性がなくそれほど強くない。メセナのOP建物であるところの醸造所は建てて使うだけだが、モダニズム建設は建てて維持しながら強力な4コスト以上の建物といくらかの消費財を手札に揃えて初めて1回目の起動が叶うのである。これだけ苦労して起動したとして得られる利益は大きくなく、モダニズム建設を建てずに初めからその強力な4コスト以上の建物を建てた方がいい。

 好意的に見るなら、モダニズム建設はカードプールに大きく左右される建物である。6コスト以上の強力な建物が多く収録されるだけでモダニズム建設の価値は上がる。もし10コスト100点売却不可なんて建物があったら評価爆上がりかもしれない。また、無印とメセナには消費財を引く建物が4種類ずつ入っていて、現在グローリーで判明している消費財を引く建物は農村と養鶏場と綿花農場の3種類なので、もう1枚ある可能性が高い。もしもう1枚が強力でモダニズム建設と相性の良い建物だった場合も評価が上がる。いま判明している情報だけでは強いとは言えないが、今後も注視していきたい。

 なお、私の解読が下手で実は「建物を1つ作る」ではなく「建物を2つ作る」だった場合は話が全く違う。モダニズム建設は無印の二胡市建設や地球建設と同程度に暴れると思われる。

 

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ゲームカフェ
2コスト10点
家計から$5を得る これがラウンド最後の行動なら$10得る

 この建物は、まつなが氏のレビューではなく@Y_GASTRONGER氏がTwitterに投稿したツイートの写真に写っていた建物である。@Y_GASTRONGER氏の前後のツイートを確認したが、どのような経緯で投稿された写真なのか分からなかった。@Y_GASTRONGER氏はこれ以外にグローリーに関する情報を呟いていないようで、ジョークカードやプロモカードの可能性もあるが、ひとまずこのゲームカフェという建物がグローリーに収録されるものとして評価をしたい。

 効果の書き方が曖昧だが、「全プレイヤーの最後の行動」ではなく「自分の最後の行動」だと解釈して話を進める。

 メセナの宝くじ*20に似た建物。$5が弱すぎるので$10で使いたいが、最後の行動のときに家計が枯れていない保証はない。というかだいたい枯れている。渋々$5で打とうにも、同じ効果の珈琲店*21が無印において使われなかったのに、コストだけ高いゲームカフェが使われるとは思えない。さらに言えば$5を何回打ってもこの建物の元が取れることはない。手札1枚の価値は$6であるためゲームカフェを打つより鉱山を打った方が強いからだ。建てた瞬間に損をすることが確定する疫病神のような建物である。

 この建物の有効的な使い方を真剣に考えたが分からなかった。なんらかのマークを持っていたら形だけのフォローもできたが、家計系の建物なのでそれすらない。誰かこのカードの使い道を教えてほしい。

 ちなみに「こにょっと」は現実に存在するゲームカフェの名前である。スパ帝が経営に携わっており、まつなが氏のレビューも「こにょっと」でグローリーを遊んだときのレビューである。

 

 2019年3月30日時点で私が把握しているナショナルエコノミー・グローリーのカードの情報は以上になる。また情報が公開されたら追記する。

*1:1コスト8点 建物を1つ作る 勝利点トークンを得る

*2:1コスト8点 あなたの労働者が鉱山にいればカードを2枚引く

*3:所有する工業マーク付きの建物1つにつき建設コスト-1 カードを3枚引く

*4:1コスト6点 農 消費財を2枚引く

*5:2コスト12点 工 手札を2枚捨てて4枚引く

*6:3コスト12点 価値10以下の建物を1つ無料で作る

*7:2コスト12点 工 農業マーク付きの建物を所有していれば建設コスト-1 手札を2枚捨てて4枚引く

*8:2コスト12点 農 消費財を2枚引く 手札に消費財があれば3枚引く

*9:4コスト18点 建物を一つ作る その後カードを2枚引く

*10:5コスト24点 工 手札を3枚捨てて7枚引く

*11:4コスト20点 工 手札を3枚捨てて6枚引く

*12:1コスト12点 農 消費財を3枚引く

*13:4コスト28点 施 売却不可

*14:5コスト34点 施 売却不可

*15:5コスト20点 施 終了時:所有する施設マークの付いた建物につき+6点 売却不可

*16:6コスト30点 施 終了時:施設マークの付いた建物4つ以上所持で+30点 売却不可

*17:4コスト18点 農 消費財を4枚取り置き次ラウンド開始時に手札に加える

*18:2コスト8点 施 労働者上限+1 売却不可

*19:2コスト10点 施 手札上限+4 売却不可

*20:2コスト10点 家計から$20を得て$10返す

*21:1コスト8点 家計から$5を得る

物体の回転について

 新房昭之総監督のアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(以下『打ち上げ花火』)で読書会を行ったので、そのメモを残しておく。

 以下ネタバレを多く含むので、『打ち上げ花火』を一度視聴してから読むことを強くお勧めする。

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